工事担任者(総務省)
利用者は、端末設備または自営電気通信設備を電気通信回線設備に接続するときは、工事担任者資格者証の交付を受けている者(工事担任者)に、資格者証の種類に応じてその工事を行わせるか、実地に監督させなければなりません(電気通信事業法 第71条 第1項)。ただし総務省令で定める場合は除かれます(同項ただし書)。
オフィスでは、光回線の ONU やルーター、ビジネスフォンの主装置を回線事業者の設備につなぐ場面がこれに当たります。LAN ケーブルで社内のスイッチと PC をつなぐだけの配線は「電気通信回線設備への接続」ではないため、工事担任者は求められていません。
資格の種別(工事担任者規則 第4条)
| 種別 | できる工事(条文の要約) |
|---|---|
| 第一級アナログ通信 | アナログ伝送路設備に端末設備等を接続する工事と、総合デジタル通信用設備(ISDN)に端末設備等を接続する工事 |
| 第二級アナログ通信 | 同上のうち、収容される電気通信回線が 1 回線のもの、ISDN 基本インタフェース 1 回線のものに限る |
| 第一級デジタル通信 | デジタル伝送路設備に端末設備等を接続する工事(ISDN への接続工事を除く) |
| 第二級デジタル通信 | 同上のうち、接続点のデジタル信号の入出力速度が毎秒 1 ギガビット以下で、主としてインターネットに接続するための回線に係るもの |
| 総合通信 | アナログ伝送路設備またはデジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事 |
工事担任者を要しない工事(工事担任者規則 第3条)
- 専用設備(専用の役務に係る電気通信設備)に端末設備等を接続するとき
- 船舶・航空機に設置する端末設備(総務大臣が告示するもの)を接続するとき
- 適合表示端末機器等を、総務大臣が告示する方式で接続するとき
3 つ目について、総務省の資料では、技術基準に適合した表示(技適マーク)のある機器をプラグジャック方式などで接続する場合は工事担任者が不要と説明されています。認定済みのルーターを既設のジャックに差し込む作業はこれに当たります。新たに回線の終端部に配線する工事は資格が必要です。告示の本文は総務省のページで確認してください。
電気工事士(経済産業省)
「電気工事」とは、一般用電気工作物等または自家用電気工作物を設置し、または変更する工事で、政令で定める軽微な工事を除いたものです(電気工事士法 第2条 第3項)。一般用電気工作物等(オフィスの電灯・コンセント回路など)の電気工事の作業は、第一種または第二種電気工事士でなければ従事できません(同法 第3条 第2項)。ネットワーク工事では、無線 AP やラックのためのコンセント増設、分電盤からの配線がこれに当たると考えられます。
一方、電気工事士法施行令 第1条が定める軽微な工事は電気工事から除かれます。たとえば、電圧 600V 以下で使用する差込み接続器・ソケットなどにコードやキャブタイヤケーブルを接続する工事、電圧 600V 以下の電気機器の端子に電線をねじ止めする工事、電鈴・インターホーン・火災感知器などに使う小型変圧器(二次電圧 36V 以下)の二次側の配線工事などです。LAN ケーブル(通信線)の配線は電気工作物の設置・変更ではないため、一般に電気工事士の資格は求められていません。個別の判断は所管の産業保安監督部に確認してください。
電気工事を事業として営むには、電気工事業の業務の適正化に関する法律にもとづき、営業所が 1 つの都道府県内なら知事、2 つ以上の都道府県にあれば経済産業大臣の登録(登録電気工事業者)が必要で、有効期間は 5 年です(同法 第3条)。建設業許可を受けた会社は届出で足りる扱い(みなし登録)があると産業保安監督部のページで説明されています。請負代金 500 万円以上の電気工事では建設業許可「電気工事業」も必要です。このサイトの名簿で「電気工事業も」の表示がある会社は、同じ名簿で電気工事業の許可も確認できた会社です。
電気通信主任技術者は別の制度
電気通信主任技術者(電気通信事業法 第45条)は、電気通信事業者が事業用電気通信設備の工事・維持・運用を監督させるために選任する資格です。条文の対象は「電気通信事業者」の「事業用電気通信設備」で、一般の会社が自社のオフィスに LAN を引くときに必要な資格として条文には登場しません。
「登録電気通信事業者」は工事会社の制度ではない
総務省が公表している登録電気通信事業者・届出電気通信事業者の一覧は、電気通信事業(回線サービスなどを提供する事業)を営む事業者の登録・届出の制度(電気通信事業法 第9条・第16条)で、工事会社を登録するものではありません。工事会社を確かめるには、建設業許可(国土交通省・都道府県)の名簿を使います(許可業者の確かめ方)。
法令・公的資料の内容を一般向けに整理したものです。個別の工事に許可・資格が必要かどうかは、許可行政庁(都道府県・地方整備局)や総務省の総合通信局、所管の産業保安監督部に確認してください。確認日: 2026-10-20。